こうして(何時ものように)長々と書き連ねてきたが、実はこの「タピオカ」はフランス料理の素材としては結構重要な材料であって、かのエスコフィエがスープを作る際に”繋ぎ”や”とろみ”を付けるのに用いるとしたレッキトシタ古典的な料理には欠かせないものなのである。
そして、【perle du Japon】と言う別称を持つと言うのもまた興味深い事実でもある。
あの独特の透明感と球体が”オリエンタル”ではなく”日本”と言う呼称に結び付けられたのは、驚きでもあるけれど、恐らく日本の真珠と同様にタピオカの珠は希少なモノで、いたく西洋人の興味を掻き立てたんだろうな?と思うと何やらおかしかったりもするのでした。
豪華客船イルドフランス号の1939年1月23日のメニューには”consomme aux perles du Japon”と言うことで、タピオカを使ったコンソメスープが載っています。
遙か異国の船の中での”du Japon”と名前の付いたコンソメは一体どんなものだったのでしょう……それこそ、若い人が熱狂してゴンチャに走る様に、当時の上流階級の紳士淑女の方も大いに興味を掻き立てられる一品だったに違いないと思うのです。