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銀座:2011年09月11日:資生堂パーラー本店


    「洋食」を食べると言う事では、それこそ都内には沢山のお店があって、どこに行くのかと言う選択肢は豊富な訳もありますが、「高級洋食」の代名詞である資生堂パーラーには実は行ったことが無かったなと言う事もあって、一度斯界の名門をくぐらないといけないなと言う事で、銀座に出かけてみる事にしました。
    資生堂パーラー本店で洋食は食べた事がないものの、上の階のイタリアンには、資生堂パーラー本店の建て替え後に会食で来ていた事もあったので、銀座駅を降りてピンク色の瀟洒な建物を目指して鳩居堂の前を急ぎます。

    (左上)資生堂パーラー本店 (左上2) 福神漬けタワー(左下2)マカロニグラタン(右2)オムライス(右)ミートクロケット




    エレベーターに乗ると、店員の方がボタンを押してくださって4Fへ。
    スルスルと開いた扉を出ると、黒服のギャルソンの方が丁寧に席へ案内してくださいました。
    銀座の銀座たるゆえんは、料理もさることながら、サービスに携わる方々の優雅な身のこなしにもあるなと思う部分でもあります。

    「洋食」でコースと言うのもありでしょうが、(フランス料理も含めて)余りコースが好きでない性分もあり、「マカロニグラタン」「オムライス」「ミートクロケット」を一つづつオーダーする事にしました。
    先ず運ばれて来たのは、可変形の銀色のタワー。
    くるっと動かすとカップ状のお皿がオープン。なんと、そこは福神漬けが入っているのでした。これは、「ご飯もの」の料理に付くものだそうで、「オムライス」を頼んだので出て来たようでした。
    銀のカップには「福神漬け」「みかん」「ラッキョウの醤油漬け」が入っていましたが、どれも丁寧に作ってあって、オムライスを食べる前にお腹を調える作用もありそうで、これから出てくるオムライスへの期待を高めてくれます。
    そして、白いお皿に載った、綺麗な星雲の様な黄色い長楕円に、これまた綺麗にかけられた赤色のトマトソースが見事なオムライスが登場しました。
    丁寧に焼き上げられた黄色い卵のオムレツに、米粒一つ一つにまで浸み込んだトマトソースが溜まりません。
    トマトの酸味を抑えてコクを出すようにコンソメ(ブイヨン)を加えた感じが非常に素晴らしい。
    そして、美味しいと言う事はもちろんのこと、やはりその味わいに何処か上品なものを感じるのは、【銀座仕様】と言ったところでしょうか。


    オムライスを食べた後に出て来たのは、グラタンでした。
    グラタンと言えば、ベシャメルソースが主役ですが、ここのグラタンはトマトソースが主役。
    この時は、特にグラタンの内容を知らずに注文したので、最初出て来た時には大いにビックリしたものでした。
    「トマト」を味わう。そんなコンセプトで設計されたのが、このグラタンなのでしょう。
    先ほどのオムライスのトマトソースよりも酸味が全面に出たソースは、それこそ「夏のトマト」を感じさせてくれます。
    ホタテや海老のキュッキュッとした歯応えを楽しみつつ、熱いトマトソースを食べるのは、それこそ上の階の【ファロ(Faro)】を彷彿させるようなものであって、なかなか面白いなと思いました。


    「オムライス」「グラタン」と来て、最後の「ミートクロケット」が登場しました。
    丁寧にまぶされたパン粉で作られた俵型のクロケットは、「コロッケ」と呼ぶのではなく「クロケット」と呼ぶのが正しい一品でもありましょう。
    中に入った刻んだハムの入ったベシャメルソースと、外側の衣を一緒に食べると、火が入って”活性化する”と言う事がどんなに素晴らしいのかを実感させてくれます。
    そして、【トマトソース】。
    オムライスのとも、グラタンのとも違って、今回は少々甘めを出してきたソースの味わいは、ベシャメルソースやハムと良く合って、至福の一口へといざなってくれるのでした。

    今回、特に意識をした訳では無かったけれども、何故か「トマトソース3変化」となってしまった資生堂パーラーの午餐。
    上の階に【ファロ(Faro)】があるからか、それともピンク色の建物がなせる業なのか、「トマト」な味わいを堪能したお料理の数々だったのでした。