LINEで送る このページを Google Bookmarks に追加

上野:2015年05月23日:上野精養軒3153


    先日の三菱1号館CAFEでの”天皇の料理番”コラボメニューを堪能した後、またネットを見ていると同じようにコラボメニューをしている所を見つけました。
    その中でも、秋山徳蔵が働いていた”精養軒”でもコラボメニューをやっているとの事で、比較的新しく出来た上野精養軒の3153へ行って来ました。
    (秋山徳蔵が働いたのは、正確には「築地精養軒」と言い、上野精養軒の本店にあたる。)

    (左)上野精養軒3153(中央)エビのビスク(右)舌平目のグージョン 仔牛のカツレツ ソースデミグラス



    コラボメニューの内容は

    スープ:エビのビスク

    メイン:舌平目のグージョン 仔牛のカツレツ ソースデミグラス

    デセール:キャビネット風プリン+コーヒー

    と言う構成で、やはり三菱1号館のメニューとかなり似通ったものを感じます。
    (むろん、TV放映での山場と言うかエピソードとの関連を考えれば、「ビスク」と「カツレツ」と言うのはどうしても外せないでしょうから)

    (左)パンと細工付きのバター(中央)キャビネット風プリン(右)コーヒー



    最初のビスクですが、三菱1号館のオマールとは違って単純にエビとだけあったのですが、丁寧に作られておりました。三菱1号館のオマールのビスクはかなり素材が良かった事もあり、こちらのビスクと比較するのは憚られますが、単純にエビだけのビスクだと少々物足りないのも事実です。

    二品目の仔牛のカツレツは、三菱1号館とは様相を異にしていますが、逆に正面から”カツレツ然”として、日本の洋食・フランス料理の草分けである精養軒のスタンスを感じます。

    そもそも、洋食とフランス料理の違いはどこか?と言っても厳密には区別しがたいものがあります。
    ここにある”カツレツ”も元々は「cotellete」であり、「肉を衣をつけて油で揚げる」と言う技法も同じで、結局は盛り付け方とか、それにかけるソースの違いで”分けている”と言う部分があります。
    なので、なかなかに洋食とフランス料理は相対的な差異でしか無い部分が大きいのですが、さりとて、ウズラのゼリーがけ(Chaud-froid de caille en Belle-vue)などは確実にフランス料理でしょうから、結局のところ違いはある訳です。
    細かい事を考えだすとキリが無い話にはなりますが、元々の源流がフランス料理にあって日本で発展した一部のメニューを「洋食」と言う方が、分類としては分かり易いのでしょう。

    それはさておき、カツレツのかかっているデミグラスソースも良く熟成していて仔牛の味を引き立てる様なソースで良かったですし、付け合わせにある舌平目のグージョンもサクッと揚がって軽く、出来映えは非常に良かったと思います。
    (goujon de sole:グージョン デ ソール:と言って、これも正にフランス料理の一つ。魚の揚げ物をここからグジョネと言ったりもする。)

    デザートのキャビネット風プリンは、店員さん曰く、プラムを使っているプディングを特にその様に呼ぶとの事でした。
    (単純に、プラムプディング:plum-pudding と言うとイギリスのケーキになる事と、秋山徳蔵が昭和天皇の饗宴の儀の際のデザートとしてメニューに載せたのが Pudding Imperiale:プディングアンぺリアル と言う事もあるような気がします。)

    何はともあれ、こういった形で、古典的なものや、日本のフランス料理の源流を紐解くような料理が出てくるのは嬉しい限りでございます。