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鎌倉:2011年04月18日:ナチュールエサンス(Nature et Sens)


    久しぶりに実家の母とデート言う事になって、お互いの交通の便の良い鎌倉で食事をする事になった。
    鎌倉は、”武士の都”などと表現する場合もある様に、少々中心部を外れると田舎道だったり自然も豊かな処が多く、日本でも有数の高所得者層が住んでいる地域には思えないギャップがある。
    2011年、東北大地震の後で、鎌倉のシンボルでもある鶴岡八幡宮に立ち寄ると、震災復興や震災の犠牲者を悼む記帳や折り鶴の奉納などが行われており、母と共に折り鶴の奉納を行ったが、それこそ折り鶴などを折るのは久し振りの事でもあり、あたふたとしながら漸く完成させる事が出来た。

    特に、店を決めていた訳でもなかったので、八幡宮を出て少し歩くと、狭い車道と歩道とも区別のつかないところになり、何軒かの店を見つけたが、休みだったり、入る気が起きなかったりだったが、白亜のサンルーフ付きのお店を見つけたので入る事にした。
    中は、外側から見るよりも広く奥行きがあって、私達が入った時にはかなり埋まっていて、チラホラと前のお客さんも帰る様な時間になっていた。

    (左)位置皿(中央)アミューズ(右)自家製のパン



    白亜の外観と内側に沿うような清潔感溢れるテーブルクロスと位置皿と、サンルーフ越しからの光が”鎌倉らしい”雰囲気を感じさせる。

    アミューズは、一口だが、非常に胡麻の香りと味がして良く出来ていた。

    パンも自家製との事で、歩いてお腹も空いていたこともあり、料理が来る前にガツガツと食べてしまった。

    (左)前菜のパテ(中央)前菜のトマトのジュレ(左)メインの鴨



    前菜のパテが涼し気なお皿で登場する。もちろん何気ない普通の良く出来たパテなのだが、店内の透明な空気とガラスのお皿の相乗効果か、非常に存在感を感じるパテだった。

    2品目の前菜であるトマトのジュレ。今でこそ、都内のフランス料理店でも鎌倉野菜はかなり幅を利かせる存在になったが、この頃はまだそこまででは無く、ご当地鎌倉での名物程度の扱いだったが、それだけに、鎌倉野菜と言ってもピンとこず、実際に鎌倉でこのトマトのジュレを食べてその味の濃さやハッキリとクリアランスな感じを味わえて、衝撃を受けたのを覚えている。

    メインの鴨も丁寧にローストしてあって美味しかったが、先のトマトの衝撃の方が強くて、何やらトマトがメインの様な感じになってしまった。

    (左)メインの一つスズキ(中央)ココナッツのブラマンジェ(左)プチフルール



    続いて、スズキが登場。本来は「魚」→「肉」と言う順番だったが、焼き上がりの順序で鴨→スズキとなったようだった。

    デセールは、またこの白亜のレストランを象徴する様なココナッツのブラマンジェ。ブラマンジェもアイスも丁度良く冷えていて、かつ甘すぎず、この辺が鎌倉フレンチかな?などと思いつつ、プチフルールが到着。
    クッキーもコンフィチュールも程好く、コーヒーを美味しく頂いて、白亜の洋館でのランチはつつがなく終わったのでした。

    覆えば、非常に「トマト」の素晴らしさに心を奪われる午餐だったのですが、水分の多いトマトをトマトの味を薄くしないように、かと言ってやりすぎて損なわないようにジュレにするのはなかなか技術と経験値が高くないと難しい事。
    この時は、何の下調べもせずに、白亜のサンルーフが綺麗でフラッと入ったお店だった訳ですが、鎌倉野菜の美味しさと、トマトのクリスタル状の美味しさとを味わえて素晴らしい鎌倉のフランス料理の一日でした。