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恵比寿:2016年03月08日:ル・ビストロ(Le Bistro)


    ジビエの中でも”野兎(lievre)”はなかなか貴重な素材で名のある料理人のお店でも入らない事がしばしばと言う素材。
    そんな貴重な素材を探して、色々なお店のブログを巡回していると、たまたまシェフのブログで「リエーブル(lievre)」が入荷中!と言う文字が目に入る。
    直ぐに出かけないとと言う事で、向かったのがこのル・ビストロと言うお店。


    (左)豚がマークのル・ビストロ(中央)ブーダンノワール(右)リエーブルロワイヤル



    2016年当時でも景況感を余り感じる事もできない雰囲気が漂っていましたが、どっこい恵比寿はそんな事もなく、このル・ビストロも例外では無く、店に入ると会社帰りの皆さんで大いに盛り上がっていて、1980年代・90年代を彷彿させる様な賑わいぶりでした。
    元々、恵比寿はフランス料理店やビストロも多い飲食店の華やかな街ですが、所謂一流会社が多い土地柄でもあるので、そこで繁盛しているのは美味しいお店の証でもあるところ。
    お店に入って、少々待った後でテーブルに通されて、お目当てのリエーブルが残っているかを聞いて、注文。

    出来るまでは、これまた古典的なブーダンノワールで野兎の登場を待ちます。
    ブーダンノワール(boudin noir)は、豚の血などを使ったコクのある(クセのある)料理の一つで好き好き分かれるものですが、なかなか豚の血の良いのが入らないと美味しくないので、今となっては難しいものの一つでしょう。
    幾分、柔らかな質感を楽しみつつ、あっさりとしたブーダンで、それこそ杏ジャムでも付け合わせがあっても美味しかったかも。

    そうこうする内に、お目当ての”リエーブル”が登場。
    まさに、まごうかたなき、古典的な”リエーブルロワイヤル(lievre royale)”。
    固く煮しめられた兎の肉からの独特の臭みを味わいつつ、添えられたバターたっぷりのヌイユを絡めて口の中で広がる野兎の肉の味………
    やっぱり野兎は旨い!!!

    後は無我夢中で食べてあっと言う間に(あれだけ待ち焦がれた)野兎タイムは終了してしまうのですが、せめて一年に一回は食べたいもの!と言う思いを改めて強く持ったのでした。
    (ちなみに、ブーダンノワール1100円 リエーブルロワイヤル5900円 と言うお値段でした。)

    食後、このリエーブルを作った瀧澤延行シェフとお話をさせて頂いたのですが、非常に意欲的で勉強熱心な方でした。
    聞けば、公邸料理人としての経歴をお持ちで、(後で調べたところ、外務省の優秀公邸料理人としてH22年に表彰を受けた方でした。)イスタンブール総領事館に居たことがあるとか。たまたま、このLeBistroの運営会社がミサワと言う家具・雑貨を扱う企業で、フランス料理店を何軒か持っており、その中の”ハムサ”と言うモロッコスタイルのフランス料理も食べた話をすると、そこで料理長をしていたのが彼だったと言う奇遇なご縁もありました。
    瀧澤シェフは、ミサワ系列のフランス料理店それぞれで調理に携わったとの事で、この時も LeBistro から系列店の OuefOuef(ウフウフ)に動く予定だったそうです。
    そもそも、公邸料理人は、かの帝国ホテルの村上信夫氏や、オーミラドーの勝俣登氏、オテルドミクニの三國清三氏、アタゴールの曾村譲司氏など、日本のフランス料理界を担う優秀な方々を輩出しているポジションでもあります。
    瀧澤氏にも是非、その系統を受け継いで、日本のフランス料理界を背負って立つ人物になって欲しいな、と素朴に思いました。

    瀧澤シェフのフェイスブックを見ると、鎌倉でお料理をされながら開業準備をされているとの事で、今後の開店が楽しみです。