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明治神宮前:2018年10月14日:バターミルクチャネル(BUTTERMILK CHANNEL)


    少々次の待ち合わせまで時間があったので、乗り換えをしないで、東京メトロの明治神宮前駅から表参道駅まで歩くことにした。
    京橋千疋屋の前辺りでチラシを配っていて、それを受け取ると「バターミルクチャネル」とあった。チラシはそのまま鞄に入れて、地下鉄に乗った後でチラシを良く見ると、近々開店との文字があって、「モダンアメリカンビストロ」と言う珍しい文字が載っていた。
    チラシには、本家のアメリカの由来来歴が書かれていて面白かったのだが、裏面にある「鴨のミートローフ」なるものにいたく心を引かれてしまった。
    アメリカでも(当然)フランス料理は食べるだろうけれど、どんなものを食べているかは知る由も無かったが、”こんなゴツイミートローフを食べているとは……”と思い、行って見ることにした。

    (左)店前に置いてあるメニュー(中央)配っていたチラシの表側(右)配っていたチラシの裏側



    原宿、明治神宮は何時ももの凄い人出ではあるが、ハンバーガーやドーナッツと言った軽いファストフードが似合うゾーンではあって、せいぜいイタリアン位は流行るだろうけれど、アメリカンキュイジーヌとはなかなか目が高いかも知れないと思った。

    店に着くと、丁度ティータイムからディナータイムへの切り替えの時期だったのか、入るまで待つ事になった。
    中を見渡すと、やはり場所柄か大学生と及ぼしき人達で結構埋まっていた。青学の人達がここで食べるかは分からないが、雰囲気がお洒落で、”それこそインスタ映え”しそうな外観・内装でもあるので、上手くすれば原宿の新名所になりそうな感じであったので、これからが楽しみなお店ではある。

    (左)クラッシックな入り口(中央)ハンバーガー(右)鴨のミートローフ



    メニューを観ると、色々とあるけれども、初めて来たお店であるし、そもそもお店のHP以外に判断の材料も無かったので、当初の目的である「鴨のミートローフ」と、アメリカンらしく「ハンバーガー」を頼むことにした。

    注文してから、出てくるまでに結構な時間がかかっていたようで、オープン当初、色々とオペレーションの問題もあるしなぁなどと思ってやり過ごしていると、最初に「ハンバーガー」の登場。

    最近、日本でもファストフード系とは違ってのハンバーガーが六本木などのオフィス街で目にするようにもなったが、その系のハンバーガーとは違って、意外にシンプルな感じでの登場である。
    付け合わせの、拍子木スタイルの揚げたてポテトが泣かせるが、ハンバーガーの肉自体も流石U.S.Aと言う感じで肉汁をしっかりと味わえる焼き方で、ゴテゴテしないでシンプルに肉とバンズのハンバーガーは良くツボを心得ているなと思う。

    そして、お待ちかねの「鴨のミートローフ」
    実際には、鴨のハンバーグと言う方がふさわしい気がするが、ミートローフと言う部分にこだわりがあるのだろう。
    「ミートローフ」→「肉の巻き物、かたまり」と言うことになるだろうから、この辺はハンバーグと言う言葉ではなく、”ローフ(Loaf)”を強調したいのは分かるかもしれない。

    さて、このミートローフ、ナイフで切り込みを入れると、まぁ素敵な鴨の匂いがふんぷんとしてくる。ジビエではないので、そう言う匂いではないのだが、しかし”鴨”と言うか、肉を十分に感じさせる匂いである。
    この辺は、やはり狩猟民族としてのDNAを持つメリケンさんのアイデンティティなのねと言うことを改めて認識させられる。
    そして、写真の映りが悪いが、ホウレン草とサツマイモのピュレがあり、これと鴨のミンチの塊を合わせると、パンチはあるが決して野卑では無い料理であることを感じる事が出来るのである。
    また、下に敷いてあるソースが、ジュドヴォライユ( jus de volaille:鳥の肉汁のエキス)で出来ていて、鴨とピュレを包むようにしっかりと味を固めてくれる。

    なるほど、アメリカのフランス料理もなかなかイケる。

    ミートローフの上に載っているオニオンリングは、ロッシーニ風のオマージュかどうかは定かではないが、フォアグラで無く、オニオンリングを乗っけている所にアメリカ人の”新しい価値観の創造”と言う意欲が見て取れて、これはこれで凄いなと単純に感心した。
    そもそも、アメリカは成り立ちがコスモポリタンであって、英国だけでは無く、フランスやドイツ、オランダ、スコットランド他、ヨーロッパ系の様々な源流が集まった”坩堝”である。そして、現代における”世界帝国(的)な国家”であるから、本当は世界で一番美味しい料理があって良い筈なのであって、もしかすると、その事を知らないだけだったのか?と思わせる様なきっかけを与えてくれるような一品でありました。

    いささか、表現は悪いが、「やれば出来るんじゃん!!アメリカンキュイジーヌ」と言う感じである。
    もちろん、だからと言って、全ての料理がどうなのかは分からない事なので、明日からアメリカンキュイジーヌの使者になります的な事もないのだが、しかしアメリカのフランス料理と言うのにも興味を覚えたことは確かなのである。
    (ちなみに、鴨のミートローフの「鴨」はハンガリーのマグレカナールとの事。)

    なお、店名のバターミルクチャネル(BUTTERMILK CHANNEL)とは、元々のアメリカのお店の傍にあるニューヨークのブルックリンにあるバターミルク海峡と、このお店の調理に欠かせない”バターミルク”との意味を重ねて付けられたとの事。