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木場:2017年02月03日:アタゴール(A ta gueule)


    何時もは夜にお邪魔するレストラン アタゴール(A ta guele)
    それは夜の方が時間の都合がつきやすいという事が理由としてのあるのですが、アタゴールのHPを見るとランチメニューも豊富で、お昼から”こんな良いものをこんな値段で”出して良いの?という事を軽く思ったりもしていました。
    そんな中、なかなか美味しそうな(+レベルの高い)ランチコースがあったので、時間的には無理があったものの木場へと向かったのでした。
    (お昼のランチコースを食べたのは、実はこれが初めてでした。)

    (左)チーズフォンデュ(中央)鎌倉野菜のサラダ(右)クラブケーキ



    久しぶりにお昼に伺ったアタゴールは、夜とはまた違う顔のレストランでした。
    ガラス張りのレストランに注ぐ陽光は非常にクリアーで伸び伸びした感じを受けます。
    夜の大人の社交場の様なシックで奥深い感じとは違って、昼は透明感あふれる空中庭園の中にいるかのようです。

    【前菜】は、ラクレットチーズのフォンデュ
    【サラダ】として、鎌倉野菜のサラダ
    【メイン】はタラバガニのクロケット、ビスクソース添え

    「ラクレットチーズのフォンデュ」は、夜のメニューにも度々登場する実に美味しい一品。
    自分で温めたチーズに具(パン)をくぐらせてお好みでたべるのがフォンデュの愉しいところですが、ここアタゴールのフォンデュは煮詰めていくと共にチーズの濃さが変わるので、色々な味の変化をテーブルの上で手軽に楽しめて面白いのです。
    また、鎌倉野菜の美味しさはあえて語る必要も無いかと思いますが、オーナーである曾村氏が鎌倉に直接出向いて、現地の農家の方との信頼関係を築いているために、何時も新鮮で上質な鎌倉野菜を味わうことができます。
    ワタクシはベジタリアン(ビーガン)では無いので、「鎌倉野菜だけのコース」をお願いしてみようとは思わないのですが、しかしベジタリアンでは無いですが、この鎌倉野菜で作ったスープや何やはきっと味が濃くて美味しいだけでは無く、細胞をシャキッと整えてくれるような気がします。

    そしてメインの「タラバガニのクロケット」
    これは、単純にいえば「蟹コロッケ」ですが、そこはフランス料理店の一品なので、フランス料理店らしい工夫がされています。
    それは、”濃厚なビスクスープ”……写真では撮りそびれましたが、お皿に乗ったクロケットの上に、後からビスクスープ(ビスクソース)を注いてかけてくれるのです。
    これは、見た目にも演出的にも楽しくワクワクする光景でもありますが、クロケットに濃厚なビスクスープが注がれる事で、ガラッと目の前の景色が変わってしまうのは”技あり一本”というところでは無いでしょうか。
    揚げたばかりのクロケットを崩しながら、下に敷かれたソースにまぶしながら食べる一瞬の恍惚感というのは、ガラス窓から降り注ぐ太陽の光もあって、一層【蟹(タラバ)】の味を昇華させて、この日この料理に出会えて事を降り注ぐ残光と共に写真機のネガの様に何時までも残る様な感覚を覚えるのでした。

    (左)紅玉リンゴのグラニテ(中央)金柑と棗のキャラメルソースかけ(右)サロンカーでのコーヒー



    食後の【グラニテ】は紅玉リンゴのグラニテ
    【デセール】は金柑と棗を煮たものにキャラメルソースをかけたもの

    グラニテは、普通はメインの前のお口のリフレッシュに使うのが定番ですが、お昼ではデセールの前のアバンデセール的な位置付けで、”甘いもの二つ”のお楽しみといったところでしょうか。
    「紅玉」のある意味エッジの効いた甘さと酸っぱさが、逆に先ほどのタラバガニのクロケットの余韻を呼び戻してくれます。
    紅玉の後は、キャラメルをかけた金柑と棗ですが、金柑の紅玉とはまた違う酸っぱさとその周辺の甘さ、そしてやや厚い皮、棗の深い甘さと皮の加減を味わうと、キャラメルの粘度を持ったドロッとした甘さが覆い被さってきて、【甘さ】だけではなく【質感】も楽しめるのなかなか素敵なデセールでした。

    食後は、隣の車両に移って食後の飲み物を頂くのは夜の仕様と一緒。
    コーヒーを飲みながら、何時もの素晴らしい曾村氏のシャボンカービングを見ながらも、夜とは違って明るい車内の景色に、「昼はこんな顔なんだぁ アタゴール」と思いつつ、たまにはこのお日様の思いっきり差し込むランチも素敵だなぁと思った節分の日でありました。