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銀座松屋の北海道展第10回:2013年11月04日:KAIRADA


    銀座松屋は百貨店の中でも面白い催しものをする点で、他の百貨店とは一線を画している感があったが、銀座にあるグランメゾン(Grand Maison)級のシェフを集めて、しかも日替わりで料理を提供すると言う極めて例の無い企画があったので、時間の工面が出来る限り参加してみる事にした。
    この催しは、10月31日~11月5日までの6日間で行われ、コースA3150円、コースB5250円(両者の違いは前菜が一つか二つか)の2種類で、(但し初日のレカンメニューだけは、AコースとBコースの内容が違っています。)

    10月31日:レカン:高良康之シェフ
    11月01日:マキシム・ド・パリ:伊藤正顕シェフ
    11月02日:ペリニィヨン:中山智喜シェフ
    11月03日:シェ・イノ:古賀純二シェフ
    11月04日:レストランKAIRADA:皆良田光輝シェフ
    11月05日:ル・ボーズ:青木健晃シェフ

    と言う構成であった。

    今回は、レカン・マキシムに続いての3回目のレストランKAIRADAバージョンです。
    (3日目のシェ・イノ、4日目のペリニィヨンは時間の調整が付かず断念)


    (左)お水は”摩周湖”のお水(中央)海の幸のテリーヌ(右)北海道野菜



    < Course "A" >

    Gougere:GINZAの北海道展限定 グジェール(ジャガイモとチーズのプティシュー)

    Fruits de mer marines sauce pistou:海の幸のマリネ 香草ソース

    Chevreuil pane sauce au champignon de bois:蝦夷鹿モモ肉のパネ キノコのソース

    Sorbet de yaourt et huille d'olive,pomme saute aux fruits rouges au parfume"CINZANO ROSSO":
    ヨーグルトとオリーブオイルのソルベ&ソテーしたリンゴとレーズン ベリーのソース”チンザノロッソ”風味

    Nespresso Espresso Leggero:ネスレネスプレッソ エスプレッソ レジェロ

    Baguette ou Pain de campagne:GINZAの北海道展限定 バゲットまたはパン・ド・カンパーニュ(北海道産小麦使用)


    < Course "B" >

    Gougere:GINZAの北海道展限定 グジェール(ジャガイモとチーズのプティシュー)

    Terrine et marine de fruits de mer sauce au pistou:海の幸のテリーヌとマリネ 香草ソース

    Assiette jardiniere de legumes HOKKAIDO:北海道野菜の温かい一皿

    Noissettes de chevreuil en croute sauce poivrade et chevreuil de HOKKAIDO braise au vin rouge avec sa consomme:
    蝦夷鹿ロース肉とフォアグラのパイ包み焼ポワブラードソース&バラ肉の赤ワイン煮 蝦夷鹿のコンソメスープ添え

    Sorbet de yaourt et huille d'olive,pomme saute aux fruits rouges au parfume"CINZANO ROSSO":
    ヨーグルトとオリーブオイルのソルベ&ソテーしたリンゴとレーズン ベリーのソース”チンザノロッソ”風味

    Nespresso Espresso Leggero:ネスレネスプレッソ エスプレッソ レジェロ

    Baguette ou Pain de campagne:GINZAの北海道展限定 バゲットまたはパン・ド・カンパーニュ(北海道産小麦使用)


    (左)(右)鹿のパイ包み ポワブラードソース(中央)鹿のコンソメ




    今回も、「パイ包み」があるBコースをチョイス。
    このフェアの中では、皆良田氏だけが自ら猟銃を持ってジビエをハントする方なので、否が応でも「鹿」をどの様に料理するのかに期待が高まります。
    摩周湖の水を飲みながら、前菜を待ちます。テリーヌの登場。「海の幸の」とある様に、帆立ベースに鮭を始めとした色々な魚が楽しめてご機嫌な一皿でした。
    ”魚のテリーヌ(terrine de poisson:テリーヌドポワソン)”と言うと、その下拵えの面倒くささや難易度から、今や古典的料理の一つとして余り見かけなくなった料理ですが、皆良田氏はアピシウス出身だけに手慣れたものなのでしょう。
    北海道野菜の一皿は、メニューにも”jardiniere(ジャルディニエール:園芸師風)”とある様に、華の銀座の真ん中で行われているイベントに一服の間を与えるようです。
    メインは、鹿のパイ包みですが、今回はフォアグラも入っている豪華版です。レカンの所でも触れましたが、百貨店の催事場と言う中でしっかりとした火入れをして出すと言うのは至難の業でしょう。それをいともあっさりとやってのけるシェフの方がたは、やはり”ザ・銀座”と言う事なのでしょう。
    この「鹿とフォアグラのパイ包み」は、フォアグラと鹿との火入れの加減の難しさもさることながら、この環境下で良くここまでと言う一品でした。栗のピュレが添えてあるのが、アピシウススタイルと言うところでもあるでしょう。
    今回の「鹿」は北海道の上田精肉店のエゾ鹿を共通に使ってのイベントだったので、皆良田氏のハントしたものでは無かったのですが、それでも鹿の美味しさを十分に楽しむ事ができました。
    忙しい中、皆良田氏お手ずから持って来て下さって、感想を聞かれたので、「皆良田さんのパイはやっぱり美味しいですねぇ」と素直に感想を述べ、改めてパ・マル時代の奮闘が結実しているなぁと思ったりもしました。
    鹿のコンソメは、骨の味も味わえる見た目に反してしっかりしたボディのコンソメで、こちらも上々でした。
    最後のデセールは、チンザノロッソ風味もなかなかお洒落だったのですが、リンゴのソテーの塩梅が良く、これまたこの環境下で、と思うもので、最後まで堪能させて頂きました。


    (左)チンザノロッソ風味のデセール(中央)食後のコーヒー(右)ドリンクメニュー




    この3日目のイベントで、レカンの高良氏が、背中にレカンと大きく書かれた黒いジャンパーを着て手伝っていました。
    銀座のフレンチと言えば、色々な意味で気位も高く、シェフ同士もライバルなのかな?と思いきや、そんな一面を見て、この松屋のイベントに出ているシェフの皆さんは仲が良いのね、と思いました。
    「グランメゾンチャリティカレー」と言うイベントもあるからでしょうか。自然な感じで、まるでレストランKAIRADAのスタッフの一員であるかの様に動いていた高良氏を見ると、今回の企画のスムーズな運営は高良氏に依るところが大きかったのかもしれませんね。
    食べ終わって、皆良田氏にご挨拶をしてエレベーターで1Fまで降りて松屋の外に出ると、レカン印のジャンパーを着た数人のスタッフが鍋などを運んでいるのを微笑ましく見て銀座を後にしました。